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イギリスのクリスマス
 - Christmas in London -


 ロンドンはクリスマス真っ只中。大陸の国々ではクリスマス市が開かれているようだか、ロンドン市内の飾りはそれほどハデではないし、電飾もシンプルだ。

恒例のバレエ「くるみ割り人形」やパントマイムを見て寒くて長い夜を過ごすもよし。パントマイム(笑劇)は、ヨネヤマママコがやってる無言劇ではなく、女装したオジサン俳優がお姫様になって笑わせたり、客席から掛け声をかけたりするこの時季のお芝居。1年のウサを晴らす絶好の機会でもある。

アドベント(降誕節)になると各家庭でもクリスマスの飾り付けが始まり、クリスマスから数えて「十二夜」の1月6日のエピファニー(顕現節)まで飾る。

ベルサイズ・パークのカフェ
昨日までパラソルとテーブルが並んでいたと思ったら
ツリーが出現。クリスマス・ムードが高まります。

 ショッピング・センターなどにはGrottoという「サンタ小屋」が出現して、お願いを書いた手紙を握り締めた子供たちが長い列を作り、イギリスではFather Christmasとも呼ばれるサンタさんに、おねだりをする。ああ うちもこんな時期があったなあ。


 大きくなるとSecret Santaが楽しみとなる。クラス全員の名前を書いた紙を引いて誰かのサンタになる。プレゼントをもらう日までは、時々「私があなたのサンタよ・・・」なんて正体を悟られないように新聞の活字を貼り付けた、一見脅迫状みたいな手紙が来たりして、「いったい私のサンタは誰なのぉ」 とパーティの日までヤキモキしながら待つ。これは子供のゲームかと思っていたら、なんと夫の職場でもやっている。しかもプレゼントは5ポンド程度(900〜1000円)と金額まで一緒。

マーケットではMulled Wine(マルドワイン)というホット・ワインが大鍋で沸々と湯気をたて、辺りはオレンジとスパイスのいい香りがただよう。買い物袋を下げた人々が冷え切った体を温めるために、一杯買い求める。街頭では聖歌隊がクリスマスキャロルを歌い、寄付を集めて病院や福祉関係の団体に寄付するのも慣わしだし、子供たちが小さなプレゼントを持って老人ホームへ慰問に出掛けることもあれば、学校劇に招待してお茶をもてなしたり、この季節はみんながやさしくなる。

イブの夜はプレゼントをもってはるばるやってくるサンタさんのために、ミンス・パイ(ドライフルーツのパイ)、トナカイ君たちにはニンジンを用意して、よい子はベッドに入る。

イギリスでは25日の昼がクリスマス・ディナーで、家族そろってお祝いする。この日は全てが休みで交通機関も止まってしまう。朝にターキーをオーブンにほおりこんだら、教会へ。帰ってくるころには美味しく焼けているという寸法だ。この時期の付け合せは芽キャベツとニンジンと白いニンジンみたいなParsnip。

ロンドンの家には欠かせないインテリアの一つが暖炉 サンタさん、イブにはミンスパイとニンジンをご用意してお待ちしております。

冬の付け合わせ
芽キャベツ(茎からいっぱい成長します)、Parsnip、ニンジン

クリスマスプティング
プディングにブランデーをかけておいて、さらにお玉かスプーンにブランデーを注ぎ、そこに火をつけて火ごとプディングにかけると上手くいきますよ。(プディングにブランデーをかけて、マッチを近づけるとボッ と炎が上がることがあります。火傷にご注意)

クリスマスはデザートがいっぱい!

 デザートはクリスマス・プディング。これはドライフルーツとスパイスと洋酒のケーキで、早々と10月には作っておいて、食べる前に容器ごとコトコト煮るか、蒸すかして温める。食卓ではさらにブランデーをかけ、火をつければ雰囲気満点。ブランデー入りの生クリームとか、バターを添えて食べる。

そのまま夕食へ突入で、また同じものを食べ、最後はクリスマスケーキで締めくくり。イギリスのクリスマスケーキはドライフルーツとナッツのフルーツケーキをマジパンで包み、アイシングしたものだ。

もうお気付きだろうが、ミンス・パイにクリスマス・プディングにクリスマスケーキはどれもドライフルーツが主体で、ねっとり、甘ったるい、重たいデザートだ。

さらに26日はボクシング・デーという休日で、みんながお休み。主婦もお休みだから残りのターキーをはさんでサンドイッチにしたりする。ここでターキーが残れば、年末までパイにしたり、シチューにしたり使いまわしして消費しなければならなくなる。


 さて日本では、クリスマスまでに彼氏がいなきゃ淋しいよ、イブはロマンチックにトワイライト・ディナーね、というのがトレンドのようだが、ここイギリスのカップルは違いますよ。

大手銀行の調べによれば、20人に1人はクリスマスやバレンタインなどのイベントの前になると、プレゼント代が惜しくて別れてしまうそうだ。CDをプレゼントする前に自分用に録音する人6人に1人、映画に行くときは家からおやつを持参し売店では買わない人50%、ワン切りしてかかってくるのを待つ人21%、ホテルに宿泊した際に備え付けのシャンプーやシャワージェル、タオルなどをも持ち帰る人30%・・・

そうです。ここはスクルージの国です。文豪ディケンズの名作「クリスマス・キャロル」のゴウツク爺のスクルージ。かくして、クリスマスの伝統と精神は脈々と受け継がれていくのです。

ディケンズ 「クリスマス・キャロル」の挿絵のカード
スクルージは金持ちで町一番のけち。過去、現在、未来の亡霊が見せた己の姿に反省し、スクルージは次第に優しさを取り戻す、心温まるお話。



Mrs K
イギリス歴2年の3児の母。それまでにもアメリカ、メキシコ、フィリッピン、シンガポールで暮らす。現在はカフェや花屋が並び、緑も豊かなロンドン北西部に在住。週末は家族で郊外の田舎町をドライブしたり、観劇や博物館、美術館めぐりなど、アンテナを敏感に張りつつも家族との充実した生活を送る。

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