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パブへ行こう!
Let's go to the pub!


 イギリス人にとってパブは切っても切り離せない生活の場の一部である。どんな田舎の町や村にも教会とパブは必ずあるといった具合だ。

 近所でやっていた「パブ展」のパンフレットによれば …Pub/パブはPublic House/公共の家の略であり、人が集まる場である。…

 11世紀ころはInn(イン/宿)Tavern(タバーン/食堂)Alehouse(エールハウス/飲み屋)と区別されていたが、そのうち泊まれて酒が飲めるとか境目がはっきりしなくなってきた。

ロンドンのパブライフ
平日は金融街シティのパブ(右)。週末は近所のパブ。郊外型パブにはたいてい庭があり、天気の良い日は外で過ごすと気持ちがいい(左)。

 構造改革、再編・統合の結果、現在はB&B、レストラン、そしてパブと区別されるようになった。今のパブの原型は18世紀くらいからある。(実際100年200年と営業を続けている所など珍しくない)

パブの看板(左から)

よくみかけるRed Lion(レッドライオン) ほかにもホワイト ベアとか「荒くれ男」がたむろするにふさわしい店名?
Bank(バンク) というパブ。「ちょっと銀行へ行ってくらぁ」と言って飲みに行っちゃたりして。
Rose & Crown(ローズ&クラウン/ばらと王冠) わけの分からない組み合わせは、店が合併した結果生まれたものが多い。
Shakespeare(シェイクスピア) 有名人の名がついている所も多し。王室関係ではキングス ヘッド、クイーンズ ヘッドなんてすごいネーミングがある。(ちなみに右上方の写真、シティのパブはキングス ヘッド)King's Arms(キングス アームズ)は王様の腕ではなく「王家の紋章」。

 … ビールの歴史となると紀元前、ローマ人の侵攻まで遡る。そのころからすでに醸造所で飲ませる風習まであった。などなど薀蓄を傾け始めたら延々と続いてしまいそう。

 「パブと人権」とでも言おうか、時代とともにパブも変わってきた。昔は中産階級と労働者では別の入り口から入り中も仕切られていたが、今はそういうことは無くなった。

 女人禁制も解かれたし、95年からはファミリーパブとしての認可を受けているパブでは、大人の同伴があれば子供も入店できるようになった。


 ティーンの飲酒に関しては覚えきれないくらい細かく規定がある反面、ペットの犬に関してはとくに決まりなどないようで、主と一緒にやって来る。主はカウンターのフックに手綱をひっかけ、ビールを飲みながらbarman(バーマン/米語のbartender)と喋ったりして、その間犬はボウルの水(たぶん)をおいしそうに飲んでいた。散歩の途中のひと休みといったそんな光景をみたことがある。

 「パブガイド」なるものもたくさん出版されていて、近頃はやりのGastro Pub(ガストロ/美食パブ)とか、自家製ビールが飲めるのはここだとか、何百年と続いている歴史的な店に、有名人が通ったパブなどいろいろなパブがある。

 予習してもしなくても、パブはドアを開けた瞬間が勝負の決め手。ここは場違い、ダメと思ったら踵をかえす。パブはそこら中にあるのだから居心地のよいパブに行くに限る。店内に入ったら、自分で席を探す。次はカウンターに行って飲み物を買ってくる。パブに行ったらエールを飲まなきゃね。

 ビールは発酵のさせ方の違いでエールとラガーに大別される。エールは上面発酵によって醸造され、炭酸を加えずモルト、ホップ、水から作られる。エールはパブで作っていることもあれば、地元のブルワリーで作られているものもあり、銘柄は1000を超える。

パブの店内
ここは伝統的な居酒屋系で、カウンターにはエールのポンプはもちろん、ウイスキー各種にカクテル用のスピリッツ類が充実。

キリンのラガー, バースのエール, ギネスのスタウト
並べてみたらこんなに色が違います。

 バーカウンターには何本かの木のレバーがあり、それぞれに銘柄のロゴがついている。1パイント(570ml)またはハーフ・パイント(285ml)と注文を受けると、レバーを引いて地下貯蔵庫の樽から汲み上げるとこういう仕組みになっている。

 エールはラガーと比べると色が濃いし、味も濃い。地下室の室温で保たれているので生ぬるい。これをつまみなしでちびちびと飲む。喉越しがよいラガーに慣れた身にはちょっとつらいが、一度ハマルと病み付きになるようだ。ギネスで有名な黒ビールのスタウトもエールの一種なので、お分かりいただけることと思う。


 パブでのエンタテイメントといえば、ダーツとかスヌーカー(ビリヤード)だったが、最近ではカラオケも人気があるし、大型スクリーンでのスポーツ中継に、パブ主催のクイズナイトと楽しみ方はいろいろある。

 何をしながらでもグラス片手にひたすら飲み続けることには違いない。グラスが空になれば、一緒に行ったメンバーが順番に買って来ることで割り勘にするのがルールなので、次第におなかはタプンタプン。食べ物の入る余地など無い。飲んだ後のラーメンは格別!なんてことはイギリス人には想像もつかないことだろう。

 しかしながら最近の新聞発表では今年もまたエールの消費量が落ちて、ワインが上昇しているそうだ。ここ数年こういう傾向にある。原因にあげられているのは若者のエール離れ。エールはオヤジの飲み物というイメージだし、深酒、泥酔を嫌い、おいしいものを食べながらワイングラスを傾ける方がおしゃれということなのだろう。そこでクラシックパブに変わって人気ハナマル急上昇中はガストロパブである。パブで食べるMBって?
さあパブへ食べに行こう!


美食のガストロパブなどお洒落に変わってきた「パブ飯」のお話は、10月『パブで食べる!』編に。



Mrs K
イギリス歴2年の3児の母。それまでにもアメリカ、メキシコ、フィリッピン、シンガポールで暮らす。現在はカフェや花屋が並び、緑も豊かなロンドン北西部に在住。週末は家族で郊外の田舎町をドライブしたり、観劇や博物館、美術館めぐりなど、アンテナを敏感に張りつつも家族との充実した生活を送る。

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