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郷土料理があるように、お菓子にも地方によって様々な個性があります。小麦粉や乳製品を使ったお菓子がとても豊富なヨーロッパ。旅が大好きで、イギリスでお菓子作りを学ぶ米田桂さんに、ヨーロッパ各地のお菓子をレポートして頂きました。


4回目は、フランス・アルザス地方のお菓子 Kugelhopf クグロフです。

この時期、アルザス地方は街中がクリスマス一色となります。アルザス地方の中心都市ストラスブールでは、町の中心の大聖堂の前にクリスマス市が開かれ、クリスマスにかかわる様々な商品が販売されます。また、さらにクリスマスらしいのが、ストラスブールから電車で30分ほどのところにあるコルマールという街です。ここはもともと普段から、かわいらしい建物が並んでいるのですが、クリスマス時期はそれらの家々が、道に面した窓にクリスマスのデコレーションを施し、さらにおとぎの国のようになります。窓から赤い帽子をかぶったテディベアがぶら下がっていたり、サンタクロースが壁をよじ登ろうとしていたりノ、まるで絵本の中を歩いているような気分になります。フランス北東部の寒さ厳しい地域ですが、それでも外を歩きたいと思うほど素敵なところです。

今回レシピを取り上げるクグロフは、このアルザス地方で古くから伝わるお菓子です。街にあるお菓子やさんでは必ずと言っていいほど、窓際に並べられています。もちろん、クリスマス市にも並んでいました。クリスマスのために作られるお菓子、というわけではないのですが、山形のケーキに粉砂糖がかかった様子は、まるで冬の雪景色のようで、今の街の雰囲気にとても合っていました。

イーストを用い、パンのように作るため、難しく敬遠しがちですが、フードプロセッサーで作ると思っているより簡単に作ることができます。型はクグロフ型という中心に穴の開いた専用の型を用います。本来は、写真にもあるような、アルザス地方のお土産としても有名な陶器の型を使って作るのですが、日本ではなかなか入手が難しいようです。取り扱いやすいテフロン製のものなどが作りやすいと思います。

手順は多く時間がかかりますが、その分、焼きたてのおいしさは特別です。ぜひ挑戦してみてください。


クグロフ



クグロフ
Kugelhopf


▼ 材料 大1個、または中2個分

強力粉 250g+打ち粉
塩 小さじ1
砂糖 40g
インスタントドライイースト 7g(*)
卵 2個
牛乳 80ml
バター 125g
レーズン 100g

*ドライイーストは、お湯に溶かして予備発酵させる必要のあるものと、小麦粉に直接混ぜて使えるインスタントタイプのものがあります。ここでは、インスタントタイプを使います。

▼ 下準備

  • オーブンを200℃で予熱する。
  • レーズンを、ラム酒またはお湯でもどし、水気を切って冷蔵庫で保存する。
  • クグロフ型に薄くバターを塗り、冷蔵庫でしばらく冷やしておく。
▼ 作り方
  1. 強力粉、塩、砂糖を合わせてふるい、ドライイーストと合わせて、練り用の刃をつけたフードプロセッサーにいれる。


    【こね(生地を作る)、一次発酵1.5〜2時間】

  2. 牛乳半分を加え、3〜4回パルス(フードプロセッサーのスイッチを切ったり入れたり)して、生地をポロポロの状態にする。
  3. 連続して15秒位回転させる間に、残りの牛乳を加える。さらに15秒回転させる。
  4. 卵をときほぐし、20秒位回転させる間に、加える。さらに10秒回転させる。
  5. 生地を大きめのボールに取り出す。
    もし、くっついて取り出しにくい場合は、強力粉(分量外)を小さじ2ほど加え、3〜4回パルスすると取りだしやすくなる。ただし、回転させすぎると、生地が硬くなってしまうので気をつけて下さい。
  6. ボールの中で、生地をできるだけ丸くまとめる。硬く絞ったぬれ布巾をかぶせて、暖かいところに1.5〜2時間おいて発酵させる。


    【パンチ(一次発酵したの空気を抜く)、二次発酵1時間〜1晩】

  7. 打ち粉をした台に生地を取り出す。生地の上にも軽く打ち粉をし、手のひらで生地をやさしく押しつぶして、空気を抜く。水気をよく切ったレーズンを加え、全体にいきわたるように混ぜ合わせる。
  8. 生地を三つ折りにしてひっくり返し、打ち粉をし、再び押しつぶしを3〜4回繰り返す。
    (*ひっくり返す時、台にくっついた生地をカード(なければ、包丁の背など)で取り、その場所に再び打ち粉をするようにすると、だんだん、生地がまとまってくっつかなくなり、扱いやすくなる。ただし、あまり粉気が増えると仕上がりが悪くなるので、多少くっつくのは気にせず、打ち粉はできる限り少なめにしたほうがよい。)
  9. 生地を丸め、ラップでくるみ、さらにそれをビニール袋に入れる。口をしっかりと閉じて、冷蔵庫に入れ、1時間以上、低温発酵させる。 
    (*ひと晩発酵させると、生地がしっとりして、柔らかい仕上がりになる。その後の扱いも楽。)


    【成型(クグロフ型に生地を入れる)】

  10. 冷蔵庫で冷やしたクグロフ型に薄くバターを塗り、強力粉を振って余分な粉を落とす。クグロフ型の底の、各くぼみにひとつずつ、アーモンドを並べる。
  11. 生地を冷蔵庫から取りだし、打ち粉をした台の上に出して、手のひらで軽く押して空気を抜きながら、クグロフ型の大きさに合わせて円形に広げる。真ん中に穴をあけて、生地をドーナッツ状にする。
  12. 生地をクグロフ型に入れる。(このとき、生地が型の半分の高さ以上にならないように気をつける。)生地が型のてっぺんに達するまで(約1〜2時間)、暖かい場所で発酵させる。


    【焼く】

  13. 200℃に予熱したオーブンで40〜50分、竹串を中央に刺して抜き出したときに、生地がくっつかなくなるまで焼く。もし、中が焼ける前に上部が焦げはじめたら、オーブンシートをかぶせる。


    【仕上げ】

  14. オーブンから出したら、5分間そのままにして、粗熱を取る。型をひっくり返して、ケーキクーラーの上にクグロフを取りだし、完全に冷めるまでおいておく。
  15. 好みで、粉砂糖をふりかける。
▼ メモ
  • ステップ10のところで冷凍庫に入れれば、2〜3週間保存が可能。使うときは、1日
    前に冷蔵庫にいれて、11以降の手順を続ける。



今回が最終回です。連載4回、ご愛読ありがとうございました。

米田桂 (よねたかつら)
パティシエ。食べることが趣味(?)が高じ、イギリスでのSEの仕事を辞めて料理学校に入学。2002年に Hammersmith and West London College Pastry Course を卒業し、Londonでも話題のベーカリー Baker & Spice などで経験を重ねる。自然と都会が共存する、ロンドン北西部在住。「道路を隔てて反対側には、24時間営業のスーパーやデパートがふたつも入った大きなショッピングセンターがあるのですが、家の庭にはリンゴの木があって、リスがたくさん遊びに来る」のだそう。

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